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2011年05月29日

雨が降るので

マットデイモンの『アジャストメント』を観に行くのは止めて本を読むことにしました。
奥田英朗『オリンピックの身代金』。2008年発刊の本を今頃。
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簡単にいうとタイトルどおりオリンピックを人質にして8000万円を手に入れようとする話なんですが、これが超力作、面白かったです。

須賀忠 TV会社勤務 警察庁幕僚長の次男 東大出身
小林良子 古本屋の娘
落合昌男 捜査一課警部補 妻がもうすぐ出産
島崎国夫 東大大学院生
山田  山新興業社長
村田留吉 箱師(鉄道専門スリ)
米村 山新興業 人夫 25歳
樋口 やくざ人夫
ユミ 東大生 学生運動家
キン 面倒見


てな感じが主な登場人物。なんつってもいいのは鉄道スリの村田留吉。ヒロポン中毒。小さいスリで刑務所とシャバをいったりきたりのいつもハンチングかぶってる老年に近い小男。はじめはうさんくさい感じで、でも特に強い印象もなく登場するんですよ、でも、いつのまにか、あんたが主役だよ!てな気分に。またこのおっちゃんが途中無意識に、名言をたくさん吐くこと吐くこと(それも東北弁で)。でも最後の、最後のセリフがなんつっても一番。泣けて泣けてしょうがなかったですよ。
あと人夫の米村もよかったなあ。

警察内の公安課と捜査課の関係や当時の裏社会コネクションも横糸になっててとても話に厚みを加えてて読み応え満点。
学生運動に対しての親のすねを齧ったままでいて革命だなんだの甘ったれたこと言ってんな、てなスタンスもよかったな。

わたしヒロポンというといつもミヤコ蝶々の戦後話を思い出してそんでもってなぜかそっから西条凡児の番組「娘をよろしく」を思い出すんですけど、なんでかな。「娘をよろしく」にミヤコ蝶々出てなかったと思うんですけど、「夫婦善哉」とごっちゃになっとるんか。いやどっちも製薬会社が提供やったもんでごっちゃになったんか、てまあ、そんなことはほんとどうでもええですね。

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で、もう一冊奥田英朗。「純平、考え直せ」。
これは2011年の本。

見習いヤクザで気のいいあんちゃん純平が鉄砲玉を命じられてそれを実行しようとするまでの、三日間の話。
大まかにいうとエドワードノートンの「25時」みたいな感じかな。純平は男の間をふらふらしてる水商売の母親との母子家庭育ち。ごくごくありふれた人たちが学校卒業→サラリーマンってな道を特に疑問なく選ぶように暴走族→やくざってな王道を葛藤もなく進み、周りはもちろん純平もそんな人生を当然と受け止めているんで、「25時」みたいな深刻な感じはないけれど。
でも、そのぶん純平のあっけらかんとしたとこ、自分の境遇にある諦観みたいなものが、ほんのり哀しみを醸し出していてアウトローなすかっとした青春小説を読んでいたつもりが読後なんだかしんみりさせられるという、テクニックの憎い小説でござんした。

2011年05月21日

SOMEWHERE

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『SOMEWHERE』観ました。
とりあえず思ったのは
1.フェラーリって荷物のトランクが後ろでなくて前にあるのね、
2.背の低い男優はインタビューで女優と立つ時、踏み台に乗るっていうのは本当だったのか、
てなことか。

エル・ファニングちゃんはとってもかわいかったなあ。
エッグ・ベネディクトがむしょうに食べたくなりました。あのオランデーズソースのレシピを教えてほすぃ。

とかいいながら終始一貫気持ちの底のほうで、榛野なな恵『Papa told me』を読んだ時感によく似た、”こんな大人に都合のええ小学生がおるか!”という気持ちが小川のようにさらさら〜と流れておりました。

男はいつまでたっても大人になりきれず、女は少女の時からもう大人、でも大人びていてもまだ子供、唐突に涙を見せて揺れる不安定な心を見せてみるってのもベタやのうという気持ちもさらさら〜っと。

あとスティーブン・ドーフみたいな生活でなくてもああいう虚しさと孤独感、自己嫌悪感って万人にあるものだと思ってたんですが、違うのか?

ってこれはきっとたぶんわたしがソフィア・コッポラの映画劇場でちゃんと観たの初めてなせいで、ソフィア世界の暗黙了解にある何かを理解してないのがこのもやもや〜とした気持ちの最大要因な気がするけどどうでしょう。


2011年05月20日

デクスター

今日のデクスターseason5(Everything Is Illumenated )
久々にどきどきしたわ〜。
そしてデクスターが必死こいて作り出した男ふたり変態プレイの末の殺害現場には思わず吹き出してしまいました。マスカ、最高。

今シーズン、ピーター・ウエラーがとても年をとっていたので驚き。
最初誰かぜんぜんわからんかった。
今年で64歳だって。

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でもロボコップのときでもう40やったんやね。もうっちょっと若かったと思ってました。

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2011年05月15日

ブラック・スワン

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痛い痛い痛い痛いいたーい、イテテテテ。
頭くらくらするくらいの痛いシーン満載じゃありませんか。
白鳥の湖というより鳥肌の湖、みたいな。
想像してた話と全然違ってました。

「レスラー」が、ザ・レスラーのお仕事なら、これはザ・バレリーナのお仕事、ってな感じでしょうか。
いや、
「レクイエム・フォー・ドリーム」が麻薬中毒、「レスラー」がプロレス中毒、でこれはバレエ中毒てな感じか。(ちがうか)

ベテランダンサーのウィノナ、ナタリーポートマンと似てる人選んだなあと、思ってたけど、やっぱそれっていろんな幻影の効果高めるためなのかしらん。それともウィノナって存在もナタリーポートマンが創り出した幻影?

2011年05月14日

3巻読んだよ

テルマエ・ロマエ。
今回の神はこの方↓

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いえいえルシウスでなくて

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どどーん。この方です。

この「テルマエ・ロマエ」もそうですが最近はいろんな漫画が映画になるんやねー。

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宇宙兄弟も映画になるらしいですね。
でも途中ジェイク・ギレンホールの出てた「遠い空の向こうに」まんまの挿話があるんだけど、あれはどうするんだろう、気になるわー、著作権とか。まあ、映画では使わないか。
まあ、そんなことよりなにより万起男ちゃんには是非出てほしい。万起男ちゃん出るのなら絶対観に行きますよ。
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2011年05月11日

ぼちぼち本読んでます

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松苗あけみセンセイの表紙に惹かれて読んでみました。真梨幸子「更年期少女」。

池袋のフレンチレストランに集まったのは、往年の人気少女漫画「青い瞳のジャンヌ」をこよなく愛する「青い六人会」。無様に飾り立てた中年女性たちが、互いを怪しい名前で呼び合い少女漫画話と噂話をするだけの定例会だったはずが…。いつのまにやらメンバーの度重なる失踪、事故死、腐乱死体発見!ヒロインになりたい女たちの、暴走ミステリ。 (Amazonより)

とあったので平安寿子に毒加えた感じのでも中年女性を生々しくでも生き生き描いてるチックなミステリ?とか思ってたら、
戸梶圭太系、容赦ない暴走系どうしようもないおばちゃんたちの話でござんした。
おばちゃんたちの暴走に一気読みしてしまった&面白かったけど、戸梶圭太よりもどうしようもない人に対する毒がちょっとマイルドで、もっと毒々しくてもよかったかなあ、と思いました。
他の作品はもっと毒があるのかな?読んでみよう。

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で、その戸梶圭太「見当たり捜査官」

警視庁捜査共助課。久米山はそこに所属する「見当たり捜査官」である。見当たりとは、指名手配犯を見つけ出すことで手配写真がすべて頭に入っているといっても過言ではない。久米山は過去に警視総監賞をとったこともあるほどの優秀な刑事だったが、最近は逮捕することもなく焦っていた。焦れば焦るほど状況は悪化。果たして負のスパイラルから抜け出すことはできるのか。 (Amazonより)

まあ、説明のとおり、指名手配写真を頭に全部叩き込んで、そのうえ逃亡期間を経て変わった容姿も想定に入れて犯人逮捕に血眼になってる刑事が主人公なんですが。

なんということでしょう、今までの戸梶節が薄れたこれまたマイルドな仕上がり。
ちょっとゲロ吐くだけだしちょっと首の骨おるだけだし(ちょっとか?)少々捕りものの最中に大腸出ちゃうくらいだし(少々か?)、ってまあこんなことが大したことないように思えるような阿鼻叫喚大暴走が今までの作品では展開されてたので、今回の展開やキャラが物足りなく感じてしまいました。
戸梶圭太作品って登場人物に全然同情寄せられないところが、凄い&楽しいとこなんすよね。

まだ続きがある感じの終わり方だったので続きに期待っつうことで。