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とかなんとかいいながら

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新堂冬樹『カリスマ』上下巻読んでしまいましたがな。
インチキ新興宗教対そこから信者を洗脳から救い出す覚醒会、最後に笑うのは誰だ!?みたいな話かな。大きいドンデン返しもあるよ!ってなわけで小さいフォントにもかかわらずぐいぐい読めてしまいますた。面白いよ!(でもやっぱり目にキビしい)
それにしも内容が内容なのに文中たびたび出てくる脱力の比喩や形容はなんだろう。読みながら何度もずっこけそうになったよ。

例をあげてみよっと
・ルンルン気分とランラン気分の一卵性双生児が神郷の脳内でダンスを踊っていた
・ムンムン気分とムラムラ気分の桃色兄弟にステージを明け渡した
・動悸、息切れ、眩暈__「救心」を飲みたかった
・これ以上腹に力を入れると軟便がハローとブリーフにキスをしてしまいそうだった

声とか表情の描写もオモロイよ
・氷室のクールボイスを星山のエキサイティングボイスが呑み込んだ
・寝ぼけモードの不機嫌フェイス
・まみとは似ても似つかぬ醜悪フェイス
とか。

あとは女の人の乳首がやたら尖るのが面白かったです。

でも、これって新興宗教の教祖のカリスマのマヌケをあらわすためのテクニックなのかしらんとも思ったりするので別作『無間地獄』も読んでみよ(←もう買ったよ)。はたしてエキサイティングボイスは出てくるか、そして乳首は尖るのか。


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橋本治『蝶のゆくえ』読みました。
わたし、短編小説ってそんなに読まないんですけど、これはひさびさに、うーむすごいわと思った本でした。

母親の美加が18歳の時に産んだ子。美加の再婚とともに新しい父親と暮らすが、親として未熟な二人に虐待され死亡。―孝太郎(7歳・小学生)「ふらんだーすの犬」。「男の26は若くて、どうして女の26は若くないんだ」二度も二股かけられた男に呼び出され性懲りもなくまた会ってしまう。―晶菜(26歳・OL)「ごはん」。「私お母さんが大好きなの」いきなり夏子に告白されとまどう。女の19歳は問題が多い。―アオイ(19歳・短大生)「ほおずき」。深夜コンビニにたむろっている若い男たちに注意したことがきっかけで暴行を受け、夫が死んだ。殺された。定年退職した直後に。―静子(58歳・主婦)「浅茅が宿」。夫の仕事がうまく行かなくなったのを契機に夫の実家で暮らし始めたが、大学教授の舅と姑との暮らしは耐えがたいものがあった。―加穂子(37歳・主婦)「金魚」。毎年白菜漬を送ってくる母親が怪我をした。久々に故郷に帰り同窓生に会う。―孝子(57歳・主婦)「白菜」。(amazonより)

こういう感じの話の入ってる短編集なんですが、どれも淡々と書かれてるのにどれも心の深いとこを動かすのですわ。
「嬉しい」とか「悲しい」とか「辛いとか」そういう具体的な言葉を使わずに、またそいういう言葉にすらなってない「とある感情」をすごくうまく文にして見せてくれてます。
ひさびさになんか、うわー、文学だなあとしみじみ思った短編集でした。あ、文学でも全然退屈じゃないっすよ。読み終わった後にそう感じるの。

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