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夢を与える

地道に探すとかいいながら、結局見つからず、注文してしまったよ、
綿矢りさ、『夢を与える』が載ってる『文藝』の冬号。

で、読みましたよ。もう、面白くなかったらどうしよう、と、どきどきしながら。

留学先の大学で知り合った、幹子とトーマ。
トーマは幹子よりも四歳年下でフランス人の母を持つハーフ。出会って一ヶ月で付き合い始め、古いアパルトマンの一室を借りて四年間同棲しその間ふたりとも就職せず短期の仕事をしながら遊びくらし、出会いから五年目が過ぎた時、ふたりは職探しのため日本にやってきた。
そんなふたりの別れ話しのシーンから話は始まる、と。
最初、この冒頭読んでた間は
「うっわー、りさたん、森瑤子になった!?」と、かなり動揺したんですけど、いやあ杞憂でした。

物語の主人公はこの二人の間に生まれた夕子という女の子で、ハーフである父親の血を引いてるからとにかくかわいくて幼児の時にモデルにならないかと声をかけられて契約無期限のチーズのCMに出始めるんですよ。そのCMは彼女の成長にあわせて作られていくことになるんだけど、ってな感じで話は進んでいくんですけど、そこに前出の両親の愛憎問題あり、その中で成長していく夕子、そして芸能界でのいろいろがあり、あー、詳しく書きたいんだけど、まあ、読んで読んで、ってことで。

面白くなかったらどうしよう、という心配はすっかりふっとんで、ああ、これからも、りさたんの作品が読めるんだなあと安心しました。実力全開、力量みせつけまくりの、すごくちゃんとした小説で完成してる話でした。(ってわたしなんかが言うのもナンですが)
「蹴りたい背中」よりもずっと大人っぽい話になってるけど、でも、人の持ってる「いじわる」な部分を書くのがうまいっていうのは引き続き健在してて、思わずにんまーり。

次作も早く読みたいなあ。

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